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「白い光」のイノベーション―ガス灯・電球・蛍光灯・発光ダイオード (朝日選書)
- 作者: 宮原諄二
- 出版社/メーカー: 朝日新聞社
- 発売日: 2005/12
- メディア: 単行本
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明かりは、人と技術と社会と関わり合いながら歴史を刻んできた。
最初はたき火やかがり火、動物の脂を用いた原始的なランプであった。あとから出てきたロウソクも、暗い黄色い炎の明かりだった。それでも、暗闇にくらべたらずっと明るい。このような状態が驚くほど長い間続いた。
明かりの歴史を1日=24時間にかんざんすると、その24時間が終わる30秒ほど前まで、つまり明かりの歴史の99.5%は、炎の黄色い光の時代だった。炎を見て懐かしさを感じるのは、私たちはその光の色に、遠い祖先の時代から親しんできたからにちがいない。白い光の明かりは、つい最近になって私たちの前にあらわれた。おじいさんの時代、あるいはひいおじいさんの時代の明かりは、黄色い光だったのだ。・・・・・こうして、個人の暮らしばかりではなく、経済や産業などを含めた社会全体が大きく変わっていく。このように、発明や技術開発がひろく普及して、社会全体や産業構造を変えていく過程が「イノベーション」である。
・・・「創造的破壊」を意味している。・・・
人が快適に生きるために「白い光」が必要なのは、「黄色い光」の時代でも同じだ。しかし、自由に扱える「白い光」のなかったような時代に、「白い光がほしい」と意識して考えたのは、ごく少数の人だけだろう。見たこともかんがえたことも気がつきもしないものを、人がほしがるはずがない。
たとえばいま、「イノベーションを起こすような画期的な製品は何でしょうか」「この革新技術はイノベーションにつながるでしょうか」と尋ねられても、見当もつかないのとおなじことだ。
そのあとはダビンチについてのくだりがあった。ダビンチのアイディアはダビンチの時代には発明されず、後に他の人物によって発明されたらしい。オーニーソプターというものはいまだ実現されていないらしい。人と場と時が共鳴していないらしい。