光あるうちに光の中を歩め トルストイ

光あるうち光の中を歩め (新潮文庫)

光あるうち光の中を歩め (新潮文庫)

読んだ。小林秀雄が本の中で、”何を読めば良いかと聞かれれば、トルストイと答える”というようなことを書いていたので少しずつ読んでます。

今回この本を選んだのは、アマゾンの送料を無料にしたかったので(1500円以上)買っておこうというような感じでついでに購入しました。

解説より引用

古代キリスト教の世界に生きぬく青年パンフィリウスと、さまざまな欲望や野心、功名心などの渦まく俗世間にどっぷりつかっている青年ユリウスという二人の人物を中心に、トルストイの思想が淡々とのべすすめられる。そして、現世に絶望したり、自己嫌悪におちいったりして、何度かパンフィリウスの住む世界へ走ろうと志しながら、そのたびに、疑惑や迷いにはばまれて、ふたたび俗世界にまいもどっては、そこでまた一応の成功をおさめ、パンフィリウスの思想を否定するにいたるユリウスの姿が、きわめて生き生きと描かれているため、俗世界における性的な愛とか、私有欲、名誉心などといったものが、いかに力強くわれわれを金縛りにしているか、トルストイの理想とするキリスト教的自己完成の障害となっているかが、力強い説得力をともなって示されているのである。

ついでに購入したという動機だったのですが、魂を揺さぶられました。

われわれを金縛りにという表現が心に突き刺さります。

よりよく生きたいという思いをもちながら、自分自身の欲というのはなかなか捨てられず、欲がないと経済が成り立たないなどと、もっともらしい理由をつけて自分を納得させたり、人のためになにかしたいとおもいながらも、人によくみられたいだけじゃないかと素直に良いことを認められず自分のこころは、なんて荒廃してしまっているんだと思い知らされました。