D・カーネギー

 アインシュタインはいっている_ぼくの相対性理論を理解できる者は世界に12名しかいない。

そのくせ、相対性理論を説明した本は山ほどに出版されている。

 彼自身は相対性理論をつぎのように、ごく簡単に説明している_美人のそばにいると1時間いても

わずか1分間のような気がするが、熱いストーブにかけていると1分間が1時間にも思える_これが

つまり相対性原理なのです。

 さあ、それが相対性原理だそうだ。ぼくにはなるほどよくわかるが、もし怪しいと思うなら

テストしてみるのもよかろう。ぼくは美人のそばにいることにする。君は熱いストーブにかけたまえ。

・・・・彼は物を考えるには秩序を尊ぶが、生活には何の秩序もないそうだ。やりたいことは

いつだろうがやりたい時にやる。日常生活の原理はふたつしかない。第1は、規則は絶対に作るな。

第2は、他人の意見に左右されるな、である。

・・・・彼は、どうも非常に幸福な人らしい。ぼくには相対性理論よりも彼の幸福哲学のほうが

遥かに意義ぶかい。すばらしい人生哲学だと思う。「ぼくには誰にも全く期待しない_だから

幸福なのさ」と、彼はいっている。

 彼は金銭も求めず名誉を欲しがらず、人に誉められたいとも思わない。研究するのとヴァイオリンを

弾くのとヨットに乗るのと、そんな単純なことから幸福を生み出す。

D・カーネギー人生のヒント デール・カーネギー  高牧俊之介 訳  三笠書房 引用


D・カーネギーの本は「道は開ける」や「人を動かす」が有名ですが、わたしはこの人物伝が

一番好きです。微笑ましい話がもりだくさんです。